Archive for the ‘時事’ Category
あけましておめでとうございます。
新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。
昨年は日本人にとって忘れられない1年となりました。私どもも日本に住む者の一員として、できる限りの努力をし、微力ながらも日本を支えていきたいと考えております。
2012年が皆様にとってよい年になりますよう、お祈りいたします。
このたびの地震につきまして
東北地方太平洋沖地震の被害に遭われました方々のご無事をお祈り申し上げるとともに、犠牲になられた方のご冥福をお祈りいたします。
東京都でも断続的に余震が続いております。帰宅困難になられた方々もくれぐれもお気を付けください。
禁煙
前回も書きましたように、たばこ税増税に伴い国民の禁煙意識が高まっているようです。必ずしも健康のため、というわけではなく、出費を抑えるためにやむを得ず、という側面を禁煙のきっかけにしているケースも多いと思います。いずれにしても結果的には、健康関連事業に従事する者としては好ましい方向に進んでいるのかな、とは感じます。
ただ、あまりにも極端な方向に進むのはどうかな、と思うこともあります。
先ほど、日本のたばこのパッケージに記載されるたばこの健康被害に関する危険性の表示について、「文字だけのメッセージで未だに甘い」とか「海外だと喫煙が原因で引き起こされた疾患で亡くなった方の解剖写真を載せたりして警告している」といった内容のニュースをやっていました。うーん。私はいささかヒステリックすぎるのではないかな? と思ってしまいます。そこまでしても、まだその製品を作って売っているわけですよね…。こういう表示は購買意欲を抑える意味で非常に有効だと思うのですが、自分のところが作っている「商品」にそんなものを載せなければ売ってはいけないとは…。なにか矛盾を感じます。まあ、そこまでしないと人間の嗜好はなかなか抑えられない、ということでしょうね。
ただこの方法は、日本ではやって欲しくないなあ。こんな写真をあちこちで目にしたくはないです。私は非喫煙者ですし、家族全員がそうですからね。なんでも海外の真似をする必要はないと思います。健康上のリスクを考えると喫煙をしないのがベストだとは思うのですが、リスクを承知で吸いたいという人の自由を極端に制限してしまうのはどうか、とも思います。もちろん、非喫煙者には一切迷惑をかけない、という前提でのことです。
健康上のリスクについて、一つ思い出したことがあります。喫煙と死亡率の関連については、圧倒的多数の研究がその有意性を示しているのですが、わずかですが「有意性なし」を訴える研究結果もあります。そういう結果は珍しいので、多くのメディアで取り上げられて目に付いてしまうようです。最近、たばこと死亡率の問題について喫煙者から「有意性がないことは科学的に証明されている」と指摘されたことがあります。科学的に証明されているという言葉自体があまり科学的ではないと私は思うのですが、かつて大々的に報道された、喫煙者自身に都合が良い試験の結果のみが記憶されていたわけですね。一つのことを分析するためには部分的な理解も必要ですが、やはり全体を見るようにしないとなかなか重要なことが見えてきません。マスメディアの報道に対する姿勢をきちんと見直してほしいところですけど、受け取る側もきちんと防衛線を張っておく必要性を感じます。
禁煙と言えば、1989年にオレゴン州立大学でセミナーを受けたことがあります。フィットネスリーダーズセミナーと銘打たれたツアーだったんですが、参加者のうちかなりの方が喫煙者でした。当時の日本は今ほどポイ捨てにうるさくなく、その方々のうちの一部が、大学内の花壇か何かに吸い殻を突っ込んだままにしてしまう、という行動を取ってしまいました。大学の側は激怒です。すでにアメリカではそういうことをしてはいけないということは当たり前のことだったんですね。
今では日本でもポイ捨て禁止条例などでかなりの地域で罰則が設けられるようになりました。私のオフィスの前も区のアナウンス・カーが走っています。それでも未だに道路には吸い殻が落ちていますが、今回の禁煙の流行がこういったマナー違反を減らしてくれることにも期待したいです。
それに、このオレゴン州立大学の授業の中に「禁煙」に関する講義もありました。女性の先生でしたけど、禁煙をしようとしている人から、喫煙機会を遠ざけるための、いろいろな工夫をまじめに考え、システム化した感じのカリキュラムでした。そんな先生に一人の受講者が「すでに日本ではこんなのが発売されているんですよ」と差し出したのが「禁煙パイポ」(特定の商品名ですが、宣伝をする目的ではありません)。すると先生は驚嘆の表情を浮かべた上で非常に感心し、「その会社に連絡を取りたいので、その商品のパッケージを下さい」といってもらっていました。それからどうなったのでしょうね? 禁煙補助製品としては日本が先行していた、ということでしょうか。
いずれにしても、今回の傾向が単なる一時的な禁煙ブームに終わらず、長く続いてほしいと切に願います。健康上のリスクを減らすことができますし、身体機能が少しでも上がればその人の活動量も上げられる、と思っています。
たばこ税増税
今月、たばこ税増税に伴い、たばこの価格が大きく上がった影響で、禁煙を試みる人も増えているようですね。たばこの販売本数は大きく落ち込むでしょうが、反面禁煙ビジネスが盛り上がっているようです。その影響で禁煙補助薬が品薄になったり、ガムの売り上げが好調だったり。
フィットネス関連事業従事者としては、喫煙者が禁煙を試みるのは喜ばしいことだと思います。ただ、これは嗜好の問題なので、「何が何でもダメ」と言ったことはありません。実際、私の友人には喫煙者も多いし、意外なことにフィットネス系の指導者には喫煙者も多かったりします。
フィットネスプログラムに関連して、肺に取り入れた一酸化炭素が身体能力にどのような影響を及ぼすか、というような事実については説明することはありますけど、喫煙を楽しみにしている人に、それを取り上げるようなことはあまりしたいとは思いません。もちろん、私自身は煙を吸うのは好みませんし、当然そういった非喫煙者の方も多いので、分煙の努力をしていただく必要はもちろんあります。
若い方で将来のトップアスリートを目指すみなさんや、競技力向上を目指すハイアマチュアの方には、できる限り喫煙の機会を遠ざけていただきたいとは思います。ヘモグロビンとの親和性が酸素より200倍以上も高いと言われる一酸化炭素を積極的に肺に吸い込んでいるようでは、パフォーマンス向上の機会を自ら逸しているようなものだからです。「持久力を要求しない無酸素運動なら影響しないでしょ?」という人もいますが、そもそも無酸素でできる運動なんてありません。
専門用語としての「無酸素運動」は誤解を招く表現なので、もう少し気の利いた用語に置き換えることを検討してはどうかと思うのですが、私たちの体の中では、エネルギーを生むためのメカニズムは複数働いており、強い瞬間的な運動をしている瞬間でも酸素は使われているのです。また枯渇した燐原質を再合成したり、蓄積した乳酸を処理したりするのにも結局は酸素が必要となります。「無酸素運動」という言い方にはどうしても引っかかりを感じてしまうのですね。よく「ターザン」誌などに、「脂肪は有酸素運動でしか使われることはありえない」なんて堂々と書かれたりしていますけど、これはきっとライターさんが言葉のマジックに引っかかっているんだと思います。「有酸素運動でしか使われない」んじゃなくて「ATPの再合成(ATP-CP系/乳酸系/有酸素系)経路のうち、有酸素系/有酸素系機構でしか脂肪を利用できない」のです。
簡単に言うと、私たちが利用できる直接のエネルギー源はATPのみです。しかし体内のATPなんてすぐに枯渇してしまうので絶えず何らかの方法で再合成してあげなければなりません。その方法として、
- クレアチンリン酸を分解してその放出エネルギーでATPを再合成するATP-CP系
- 炭水化物(グリコーゲン)を酸素なしで分解して得られたエネルギーでATPを再合成する乳酸系(副産物として乳酸を生成するので)
- 炭水化物・脂肪・タンパク質を酸素を介在させて分解し、得られたエネルギーでATPを再合成する有酸素系
があります。陸上でいえば、短距離系の運動では主として前二者の方法でATPを再合成し、長距離のような運動では主に後者の方法でATPを再合成するわけです。もちろん、短距離系を運動を行っている間でも有酸素系の代謝は並行して行われていますし、長距離系の運動でもATP-CP系、乳酸系は稼働しているわけです。
少し脱線してしまいましたが、いわゆる「無酸素運動」であっても、そのフォームを習得するための長時間の練習(プラクティス)が必要となったり、試技のあとに、短時間にパフォーマンスを回復させるためには最低限の持久力や酸素を使って体を回復させる能力は必要になってくるわけです。トップアスリートともなると相当長い練習時間/トレーニング時間を耐えねばなりません。このことを理解すれば、どんな競技であれ、トップアスリートには喫煙は向いていないことが分かります。もちろん、トップアスリートの中にも喫煙者はいますので、その人にとって「絶対ダメ」とは言えないんですけど、普通に考えればリスクを遠ざける方が有利だと思います。
そういう人からたばこを遠ざけるのには、今回の増税・値上げも役に立つのかもしれませんね。
もちろん、喫煙が及ぼす影響は一酸化炭素だけではないし、様々な試験で健康や死亡率に及ぼす影響も指摘されているのですが、機会を見て述べてみようかな、と思います。
…などといろいろなことを考えてしまう今回の値上げ騒動でした。